【村山元首相インタビュー③】総理は大局見て判断を　アジアのため、そして日本のために

　Ｑ　安倍首相は過去に、「侵略については定義が定まっていない」と発言している。

Ａ　実際はそんなことない。国際連合だって侵略という言葉を使っているのに、そんなことはない。
日本の軍隊が中国にやった行為はなんて言えばいいのか、「侵略」以外になんて言えばいいの。
国際的に侵略という言葉を使っている。「植民地」も一緒だ。

▽認めているから談話継承
　Ｑ　報告書では、中国の温家宝氏が国会の演説で、村山談話と小泉談話の中に謝罪があったことを
評価したことで、中国への謝罪は一区切りがついたとしている。

　Ａ　「一区切りついた」というのはこちら側の都合のいい解釈であって。
向こうはこれで一区切りついたとは思ってないわ。それは両方が理解し合い、納得するようなことでなければ、
一方だけが思ったって、もう一方が思わなければ意味ない。日本がどれだけ都合いいこと言ったって
向こうに通用しなければダメだ。僕が談話出したときにもね、「謝ればすむのか」と言った人もいる。
それまで個々の総理大臣が韓国や中国を訪問したときに謝ったけど、それはたまたま総理大臣が
訪問したときの対話の中で言っただけのこと。内閣としてまとまった形で述べた談話ではなかった。
そういう意味ではあれで一区切りついたということだけど、僕の後継の内閣はすべて「談話を継承するぞ」
と明言してきた。だから何度も謝ったというわけではない。

　Ｑ　報告書では「村山談話で日本は歴史に対する謙虚な姿勢を示したが、愛国主義を強化していった
中国がこのような日本の姿勢に好意的に反応することはなかった」としている。

　Ａ　それは間違っている。中国を訪問する度に、どこへ行っても「村山談話は過去を清算し、
今後の発展のために非常にいいことしてくれた」「中国は歓迎します」と言われているのだから。
その証拠に、毎年国慶節に招待されている。自分で言うのもおかしいが、
「わらじを編んだ人間の苦労を忘れない」と中国の言葉があるが、それくらい「日中関係のためにやってくれた」
と言ってもらっているのだと思う。
　確かに報告書のような見方をする人間もいるけど。それであれば後継総理が継承することはなかったでしょう。
あんな談話を出しやがってと、私に言ってくる人もいる。「何度謝ったらいいのか」という人ももちろんいる。

　Ｑ　談話を歴代内閣が継承することが可能になったのは。

　Ａ　それはみんなが認めているから。だから継承した。しかも相手がそれで了解するわけだからね。
だからこれはある意味、日本の国是になっている。それを安倍さんが見直すっていうから
「何を考えているのか。何を言うのか」と疑念が上がっている。
余計なこと言わないで「継承する」と言えば済んだことだと思っている。

続き　共同通信
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